研修終了、そして思ったこと

 

 

 

■お寺で考えた事



研修最後の日。

最初の面接の時と同じように
洋間で私と小川住職と寺務さんで今後についてのお話です。


 

 

 

 

 

 

 

 





今回の研修で感じた事、
そして今後どうするかを伝えました。



前にも書いたとおり、
現在のお寺と言うのはやはり葬儀やお墓、法事が
主となって経営が成り立っています。

 

しかし、私は若さもあってか、

そのどれにも興味が湧きませんでした。

「この仕事を続けていくならそれらに興味がないと駄目なのだろうか」
「それはお寺のやる仕事なのだろうか」「この仕事に向いていないのでは」
など自問自答を繰り返しました。

興味を持とうと努力もしてみましたが
結局最後まで気持ちに変化はありませんでした。

実際、妙光寺では安穏廟という有名なお墓があるのですが、
このブログではそういったお墓に関しては
ほとんど触れていません。

それは私自身がそれに興味が無かったので、
文字として自分の中から出てこなかったのだと思います。




ただ、それはそれでいいと小川住職も言ってくれたんですね。

というのは葬式やお墓というのは、私の興味のある仏教ではなく、
儒教の教えだからだと。

しかし、今日のお寺はそういった事より、
葬式仏教になってしまっている。

だからそれがわかっているお寺さんは、
妙光寺を含め何かしら変えようとしている。

お寺で展覧会をしたり、個展をしたり、
看護士の資格をとった坊さんが血圧とって健康診断したり、
そういった活動も増えてきているみたいです。

ただ、それでも現在のお寺の経営が
お墓や法事が主であることも事実なわけです。



そして私も、自分がやりたいことは果たして、住職にならないと
出来ない事なのだろうかと思い始めました。


一番初めに書きましたが私が研修を受けた理由は

「自己の形成、向上の為の教育の一つとして、
芸事や仏教の教義を教える寺子屋のような、

教育、そして、文化の場としてのお寺を作りたい。」

「私は描く仕事をしているので住職になっても
それを辞めるつもりはなく、むしろ活かしていきたい。」

と言う理由からでした。


しかし、それを住職としてやるために来たつもりでしたが
現実的に今のお寺はお墓や葬儀、法事が主であり、
しかも自分のやりたい事、それは住職としてやる必要があるのだろうか、

二束のわらじを履いて全てが中途半端になるよりは、
自分の仕事をしつつ、外からお寺に関わって行くという形の方が
いいのではないかと思い始めたわけです。




また、バイトを除いてイラストレーターという仕事以外の
経験が無かった私は、別の仕事を経験する事によって
自分の仕事を客観的に観ることが出来ました。

客観的に自分の仕事を見ることで改めてイラストレーターという仕事の魅力と、
物を創ることが好きな自分自身を再認識する事が出来たのです。

いわゆる「気付き」ですよね。

本当の自分自身を知る事が出来、
自分の気持ちに気付く事が出来たわけです。


迷いに迷った末でしたが、
これが決め手になりました。




そういった事から私は10月20の研修終了を期に
三ヶ月間お世話になったお寺を離れることにしました。

これが研修の後半、毎日考え抜いた末、私が出した答えでした。

 

 

 

 

 

 

私の考えに対し、小川住職も寺務さんも
「わかりました」と受け入れて下さいました。

お寺さんにも「確かに君は住職としてより
外からお寺に関わる方が向いているかもしれない。」と、
お二人もうすうす感じていた事だったと思います。

一応全員納得できる形で締めくくることが出来た事が
少し嬉しかったです。



矢部さんは今後は坊さんになるために
本格的に修行を開始するようで
引き続きこのお寺で頑張っていくようです。

面接後、私がこれでお寺を離れると聞いた矢部さんは泣いていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


なんて純粋な人なんでしょう。
素晴らしい人でした。

 

 

 

■お別れ

 

 

その後4時半までは、まだ一日の業務があるので
事務仕事をしていました。

仕事が終わった後、矢部さんは一週間後には研修生ではなく、
お坊さんの資格を取るための修行が始まります。

しっかり休養をとった方がいいですから、
その日のうちに矢部さんは東京に戻ります。

私は荷物をまとめなければいけないので、
帰るのは一日遅れます。
その日の夜にはもうお別れです。



仕事後、部屋に戻る途中・・・

 

 

矢部さんの愛を感じました。
 
こういった純粋な人がお坊さんになれば
いい坊さんになるだろうなと思ったものです。



その後、部屋で色々と語り合い、
夜には車で出発です。

「また会いましょう」と挨拶し、東京へ戻られました。




夜、住職と奥さん、寺務さん、鎌田さんに
挨拶し、私もお寺を出ました。



帰りの新幹線の中では鎌田さんから突然メールが。
「何もして上げられなく悪かったね。
また新潟へ来たら声かけてね。」と

休みの日には食事をご馳走になったり、
色々とお世話になりっぱなしだったのに関わらず、
そんなメールをもらいちょっとジーンときてしまいました。

なんて素敵な人でしょう。

素晴らしい先輩でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 



こうして三ヶ月間お世話になった
お寺を離れ、帰宅の途につきました。

三ヶ月とは思えない
濃密な時間でした。

 

 

 

■お寺後

 

 


お寺にいる時は気付きませんでしたが
家に帰ると色々な自分の変化に気付くようになりました。


家に帰ってみるとあれだけ大きいお寺だったせいか
何故か家が小さく感じ、しかもすごい綺麗な家に見えるのです。



別にお寺が汚いわけではないです。
つまり家の中に虫がいないわけですよ。

常にカメムシを追い出す作業を毎日繰り返していたので、
まさに都会っ子が田舎へ行って鍛えられたようなものでしょうか。

虫がいない事に違和感すら覚えるようになっていました。


少し早寝早起きにもなりましたね。
テレビもあまり見なくなりました。
見なきゃ見ないで済むもので、健康的になりました。


家のほうきも、掃く部分が上になるように仕舞ってみたり、
仕事後、机の上をしっかり片付けるようになったり、
多少ですが身の回りを綺麗に出来る様になりました。


朝のお勤めのときもそうでしたが、
今でも朝起きてから柔軟は必ずやります。

ヘルニアになってしまったので
腰痛予防に毎朝欠かしません。
おかげでお寺行く前より腰痛はましになりました。



お経を読むこともあります。
たま~にね。

 

読経は朝の頭の準備運動としていいです。
寝起きの頭のボーっとした感じが無くなり
脳がスカッとして気持ちいいです。

読みすぎは逆効果ですが。


お経が難しいなら「南無妙法蓮華経」とか「南無阿弥陀仏」を
繰り返し唱えるだけでもいいと思います。

健康にお薦めです 
ボケ防止にもいいと思います。
多分ね。

 

 

 

■最後に

 

 

 

そしてもう一つ、お寺から普段の生活に戻り
強く感じた事がありました。

研修は本当に色々勉強になりましたし、
様々な技能を身につけることも出来ました。

坊さんは幅広い仕事で、頭脳系の仕事から体育会系の仕事、
または芸術系まで幅広くこなさなくてはいけません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



これだけ幅広く色々な仕事に触れると
自分の得手不得手、向き不向きが確実にわかります。

私の場合は物を創ることが好きと言う事を
再認識する事が出来ました。

他の人も必ず何かに気付く事が出来る事でしょう

仕事はもちろん普段の生活でも経験した事の無い
環境から世界が確実に広がります。

カメムシだらけの部屋や温泉や満点の星空など、
田舎ならではの豊かな自然をいくらでも経験できます。


また、お寺ですから礼儀や挨拶は当然出来なければ駄目ですし、
それどころかお茶の入れ方、出し方、運び方、障子の開け方まで教わります。

仕事以外の時間にも自分の部屋は綺麗でないと駄目ですし、
嫌でも綺麗好きになります。

学校に1年通うよりずっと勉強になりますよね。




ですから、学生やニートやフリーター、ひきこもりなど
まだ将来の道が見えていない人や、自分探しをしたい人、
そういった人達にとって今回のような研修は、

幅広く色々な仕事に触れる事が出来、様々な技能が身につき
それどころか生活面でも自分を磨く事ができる。

何より自分を知る事が出来る、
そんな貴重な経験をさせてくれるいい機会だと思います。



つまり、こういった研修が全国のお寺に広がって欲しいと思ったのです。

例えば全国の仏教系の高校大学から1.2ヶ月間お寺で
研修を受ければ単位が取れるような制度があってもいいような気がします。

お寺としても、その中から坊さんとしてやりたいという人材、
そしてお寺が望む人材を確保しやすくなり、
後継者不足も解消できるのではないでしょうか?

お寺の社会貢献と言う意味でも大きな力を発揮すると思います。


結局こういった研修が私が望んでいた現代の寺子屋に
変わるものになるなのかもしれません。

そんな事を感じました。






とにかく私にとっては本当にいい経験になりました。

 

あの時、新聞で記事を見つけたときの直感は
間違いではなかったと思える貴重な時間でした。







そんなこんなで半年にわたって書き続けてきた
「妙光寺研修日記」ですがこれで終わりです。

いつもコメントくれた皆さん、ありがとうございました。
そして欠かさず見に来てくれた皆さんもありがとうございました。

お寺で修行をして感じた事を伝えたくなり
少しでもお寺や仏教に感心を持ってくれる人が
増えたらいいと思って書いてきました。

皆さんのコメントも「お坊さんの見方が変わった」とか
「こんな楽しいイラストで仏教を説明してくれる話を読むのは初めて」
などなど励まされました。

ブログをやって良かったと思ってます。




また、お寺に関することがありましたら
ここでお伝えします。


とりあえず「 妙光寺研修日記 」はこれで終わりです。
見に来てくれた皆さん半年間ありがとうございました。


それでは!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


                   終

              「 妙光寺研修日記 」 

              平成十九年八月二十四日
                  

                 大野雄一郎

 

 

------------------------------------------------------
(C)2007 OHNO Yuichiroh All Rights Reserved.

ご意見、ご感想、ご質問、お仕事のご連絡等、下記よりお気軽にどうぞ。

この話を出版して下さる出版社様募集しております。

 

■youartwork@gmail.com