法事
■法事 その1
皆さんもご存知だと思いますお寺には
「法事」というものがありました。
辞書で調べて見ますと
「死者の追善供養のため四十九日まで七日ごとに行う
仏事や年忌に営む仏事。」
とあります。
妙光寺ではこの法事がだいたい私のいた時では
週に2.3回はあったと思います。
まずは朝の打ち合わせで何名来てどこの部屋に
通すか聞きます。
まず、通す部屋に人数分の机に座布団,お茶セットを用意、
お客さんに自由に飲んでもらうために置いてあります。
お茶セットとは熱湯の入ったポットに
急須、湯のみ、茶托 お茶葉 、お茶葉捨て、
などを人数分用意、それに布巾をかけて完成です。
またお茶セットを置く机にも決まりがあるらしいのです。
さあ、そこで問題です。
広間に丸テーブルが3つこの状態でおいてあります。
ここに二つお茶セットを置くわけですが
この場合二つのお茶セットはどこに置けばいいでしょうか?
チッチッチッチッチッチ・・・
正解は
左上と下のテーブルに置きます。
この場合、上座は二つありますが
入り口に近い方が下座になります。
上二つにお茶セットを置いてしまいますと
一番上の立場の人が座る右上の席の人が
お茶を下の席の人に配ることになってしまいます。
よって左上と下の丸テーブルにお茶セットをおく必要があるわけです。
最初はあまり気にせず好きなところに並べていましたが
それではだめなようで、お茶セット一つ置くにしても
そこには日本人らしい細やかな気配りがあるわけです。
■法事 その2
時間になると
予約のお客さんが来ます。
前にも書きましたがお寺では「いらっしゃいませ」とは
言いません。「ご苦労様です」といいます。
部屋に通し、ここで先程用意した
お茶を皆さん飲まれるわけです。
お寺にはモンタがいるので、よくお客さんにかわいがられています。
本当に犬がいると場が和みますから、こういう時は彼の出番ですね。
しかしお店にいる看板犬というのはなぜあんなに人懐こいのでしょうか?
犬というのは自分の仕事が何かわかっている様な気がします。
法事の行事の一つにに、お坊さんと一緒に食事を取る
お斎(おとき)というものがあります。
本堂では、朝のお勤めの時のローソクや線香、遺影に位牌に法事用の花、
仏さんにお供えする霊供膳など法要の準備をし、時間がきたら本堂に案内します。
その法要の間、お斎の準備のため、お客さんの飲んだお茶を片付け、
業者に頼んでおいた弁当をお斎の部屋へ運び入れ、
弁当にビールやジュースを全部並べます。
新しいお茶セットや、今度は食事をするので
灰皿や栓抜き、日本酒の徳利からおちょこなどの
日本酒セットを用意します。
皆さんが戻ってくるまでに綺麗に部屋を
整えておかなくてはいけないので
ここはかなりどたばたしてます。
たまにもんたの妨害に遭いながらも
急いで準備します。
■法事 その3
お斎が始まりしばらくしたら
汁物やビールやジュースの
お代わりを研修生が運んで行きます。
両手でビールを何本も乗せた
お盆を持っているので
お盆を下に置かないと障子を開ける事は出来ません。
できる事ならそのまま足でスパッと開けてしまいたいですが・・・
そんなことができるわけもなく・・・・
下にお盆を置いて
こんな感じで部屋にはいってました。
研修の後半には「お茶」の授業もあり、
そこで障子の正しい開け方も習いました。
障子の開け方だけでなく、お茶の飲み方、運び方
畳の上の歩き方から色々とお茶の基本を教わりました。
障子の開け方なんて、なんだっていいじゃないかと
思ってしまいますが、やってみると理にかなってて感心することもあります。
全ての動きに無駄が無く、綺麗な動きができるんですね。
お茶の授業が学校にあってもおもしろいでしょうね。
お客さんが帰った後はたくさんのゴミが出るのでその片付け。
食べ残しを捨てるのももったいないので
モンタにたまに食べさせたことも。
犬にも食の好みがあるらしく
好みじゃないと畳の上に吐き出したり
余計な仕事が増えたこともあったりして。
でも捨てるくらいなら犬に上げたほうがいいですから。
法事 おわり
■世話人会議
このお寺は世話人会議という
世話人の合議で運営されているそうで
それが年一回あるそうなので
後の方で正座して見てました。
世話人会議は
お寺にどれくらい収入があった、とか
何に使った、今後何を行っていく、など
ほとんど株主総会のようなものでした。
お寺というものは住職個人のものではありませんし、
お寺の運営のお金を檀家さんから頂いている以上は
当然の事なのかもしれません。
お寺側からすれば自分達の給料まで
見られてしまいますが、
その分お金の流れを公開することで
信用を得ることができるわけです。
会社に近いのでしょうかね。
この会議の役員は三年で改選され
今年が偶然その年だそうで、皆さんの前で研修生として挨拶した後、
退任役員の慰労会と新任役員の歓迎会を兼ねて、
懇親会が近所の温泉であり、それに出席しそこで飲み食い。
その後はお寺に戻り、もう今日は終わりかと思っていたら
檀家さんが持って来てくれたお寿司と日本酒を飲みながら
洋間で檀家さんとまた飲み食い。
まだ飲むのかという気持ちでしたが、
世話人会議でお寺の経理を公開する事も同じで
「飲み」も、檀家さんやお寺を支えてくれる人達との
信頼を深める作業の一つなのでしょう。
会社員も飲みの付き合いは大事でしょうから、
その点はお寺も変わらないですよね。
皆、大分酔いが回り、
ようやく解放されたのは
夜の十一時くらいでした。
これも坊さんの仕事の一つです。
■休日 その1
研修生の休みの日は隔週で週休二日です。
土日は法事や何かしら行事が入っているので
ほとんど休みは平日でした。
お寺にいるとなぜか休みの日なのに
早寝早起きの規則正しい生活に
なってしまいます。
というのは毎朝、七時からお勤めが始まるので
太鼓の音で目が覚めてしまうのです。
せっかくの休みなんですが。
朝食はいつも通り七時半すぎになりますが
さすがに休日はその時間に起きたくありません。
例え太鼓の音で目が覚めてもです。
それでも九時頃には起きて着替えますが
もう七時半を逃したら朝食は食べれません。
こういう時はどうするのかといえば、前もって買っておいた
食パンを冷凍庫に入れさせてもらってるので、
それを引っ張り出してトースターで焼き、
バターを拝借して食べたり、
自分の部屋に置いてたインスタントの味噌汁やコーンスープ、
カップラーメンなんかを食べてました。
ちゃんとした休みの日といえども周りは忙しく
仕事してますから、どうも台所で一人で
のんびり飯を食べるのも気が引けるので、自分の部屋まで
持って上がって食べる事もよくありました。
お寺さんは「自由に冷蔵庫開けて好きなのつまんでいいよ」と
言ってくれるのですが、
なぜか誰もいないのを見計らって
辺りを見回しながら冷蔵庫を開けてた時期もあったような。
人の家の冷蔵庫を使うのは気を遣うものです。
途中から自分の部屋に冷蔵庫が欲しくなりましたね。
■休日 その2
休日はお寺にいても娯楽はテレビくらいしか無いので
奥さんの車を借り、お出かけです。
お寺にいると時代の流れというか情報に少し疎くなる部分がありまして、
同世代の人との交流は無いですし、お寺の周りは山や海、
テレビやインターネットを見る時間も減ります。
特にお盆の忙しい時期になりますとそれが顕著でして、
ハンカチ王子を知ったのもかなり後ですし、
首相が小泉さんから安倍さんに代わった時も
はっきりとした記憶がないほどです。
なれない環境だからそう感じたのかもしれませんが、
休日には町に出て時代の空気に触れたくなるのです。
本屋に入り浸るのもその一つですが、
あれほどツタヤに行くのが待ち通しかったことはないですね。
立ち読みが楽しかったです。
ただその分自然が豊かな環境である事のメリットもたくさんあります。
近くが海ですので夏場は海の家がでるので
そこで夕方飯を食べることもありました。
一人だったので不審に思われたのか
どの海の家もなかなか入れてくれなかったです。
ようやくokしてくれた海の家で
カレーと味噌汁を注文。
おそらくレトルトですが水平線に沈む夕日を見ながら
のカレーは最高においしかったです。
海の向こうに見える佐渡島も本当に綺麗でした。
綺麗な夕日と佐渡島の写メールをたくさんの人に送り、
海の家のおばちゃんとも仲良くなってスルメをタダで貰ったりして。
こんな人づきあいもいいもんです。
贅沢な時間でした。
■休日 その3
お寺の近くには温泉や健康ランドなんかも多くて
よく通ってました。
その内の一つに、「太古の湯」という温泉があったのですが
そこでは日本海に沈む夕日を見ながら温泉に入ることができたり、
近くには市場のような場所もあったらしく
そこで取れたての海の幸も食べれたそうです。
お寺の近くにはこういった
お薦めスポットがいくつもありました。
散々自由に過ごした後は、お寺に戻り、夜は洋間でテレビを見たり、
トランプしたり、時にはお寺の娘さんに
「マリオカート」を借りてNINTENDO64 をしたり、とにかく自由です。
映画が見たければ内野にツタヤもあるので
洋間のテレビデオでビデオも見れます。
夜は仕事がある日でも、自由に過ごしてました。
プレステ持って来ればDVDも見れます。
休日 おわり
■金曜日の花
お寺では毎週金曜日花屋が来ます。
本堂や祖師堂にある花を週一で取り替えなければならないからです。
その花を変える作業ももちろん研修生がやります。
まずは、花瓶に入っている花とヒバを引っこ抜くのですが
花瓶にギッチギチに入っているので
すっとまともに抜けた事は一度もありません。
額に血管浮かばせながら格闘し
ようやく抜き出します。
花は処分しますが
ヒバは夏場でなければ結構持つので
茶色く変色したヒバ以外は花屋に返します。
それを台所の下の水場に置いておくと
業者がそれと引き換えに
新しい花を置いていってくれるわけです。
そして今度はその新しい花を花瓶に入れる作業ですが
これは抜く時より大変。
こちらも額に血管浮かばせながら格闘し、
ようやく入れます。
慣れていない頃は、この花の作業をしていたら
手首の辺りが傷だらけになっていたことがあります。
知らない人がこの時の手首を見たら
リストカットしてる人みたいに思われたでしょうね。
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